無題(前編)

夫の実家の猫が死んだ。

母息子の二匹いて死んでしまったのは息子の方だ。

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前足が白いので名前は足袋という。私は10年ほど前からこの足袋を知っていた。人懐っこく優しく身体の大きい猫だった。訳あって2年ほど前からご近所さんに足袋だけ引き取られ暮らしていた。引き取られた先で肺癌を患い死んでしまった。

 

しばらく私たちは仙台に住んでいたが、先週からまた転勤で夫の実家に戻ってきた。その矢先足袋が死んでしまった報せを受け亡骸に会いに行った。

口を少し開けて横たわった足袋がそこにいた。かわいいブランケットが身体にかけられていた。頭を撫でてみる。毛並みは良かった。ブランケットをめくってみる。想像したより痩せてはいなかった。かわいいかわいい白い足先が目に入る。改めてこの横たわった猫が足袋だということを認識したら涙が止まらなかった。

 

引き取ったご家族全員が足袋を溺愛してくれて幸せな最期を過ごしたことがわかった。

すごく短命だったわけじゃないし長寿だったわけでもない。出会ったとき3.4歳だった猫が寿命といわれてもおかしくないような歳に死んでしまっただけなのだ。それだけ自分も歳をとっているのだ。

 

足袋を引き取ってくれた近所の方が翌日火葬にも是非きて欲しいと言われた。よその家の猫になってしまった火葬に行くのはどうだろうと思ったが、足袋は私にも仲良くしてくれたし何かの縁かもしれないと思い行くことに決めた。

 

その火葬場でとんでもない和尚と出会うことも知らずに…