ちびまる子ちゃん
「あんたって本当にちびまる子ちゃんだよね。」
友人にそう言われたことがある。
昔からちびまる子ちゃんは大好きだったし、小学生のころ「藤木くんがさ~…山根がさ~…」と妹と話しているのを聞いた母は、まじもんのクラスメイトのことだと勘違いしたくらいナチュラルに話をしていたようだ。
ちびまる子ちゃんの世界に私が登場してもいいってことなのだろうか。嬉しいと勝手に思った。
だが友人が言いたかったのは私がちびまる子(さくらももこ)に似ているとか、新キャラとして登場とかいうことではなく、私そのものがちびまる子ちゃんという世界観を体現しているということだった。
わたしはまる子であり、たまちゃんであり、藤木くんであり、山根なのだ。
キートン山田といっても過言ではないかもしれない。
先日までお世話になっていた職場で大変面白い女性の先輩がいた。
明るくフランクで愛のある毒を吐いて仕事をするような人で毒を含めて私は大好きだった。
飲みに行ったときも、たくさんお酒を飲んで姑の愚痴を言いながら「バッキャロー」と隣の人の肩を抱き叫ぶところを見てますます好きになった。
先輩の独壇場の飲み会だったが全然嫌な気分にならない。むしろもっと続けてほしかったので私も「そうだそうだ!」と調子にのって合いの手をいれた。
そんな時、夫の転勤が決まり、仕事を退職しなければいけなくなり、先輩のことをもっと知って仲良くなりたかったのに大変残念だった。
でも最終出勤日の休憩中に先輩からのちほど連絡先を教えてほしいと言われた。
普段から連絡先を聞かれることが全然ないため、嬉しくて興奮して「あ!今スマホだします!すぐに!」といって鞄をごそごそしたが
「食事中だからまたあとで」と苦笑いをされた。
嬉しさのあまり身を乗り出してしまった自分が恥ずかしい。
他人との距離の詰め方が下手くそなのがこんなところで出てしまった。
先輩とまた飲みに行く機会があったら自分が歩くちびまる子ちゃんと言われたことがあると話してみようと思う。
肩を抱かれて「バッキャロー!」と言われたい。