凍てつきし我が青春の日々⑬

昭和19年12月24日(日)曇

相浦まで行軍、午前九時出発、途中眼鏡岩にて休憩、十二時相浦着、午食後解散、集合場所は集会所の前午前四時半までとのことのため、相浦より殆ど走るようにして佐世保に向かったが、足が痛くて、皆に付いて一緒に行くのが苦しかった。

二三日以来腹具合が悪い。夜温習後握り飯を食べたのが一層いけなかった。

昭和19年12月25日(月)大正天皇祭

朝食は食べなかった。腹を壊すとこんなにも苦しいものであろうか。

今日は遙拝式が行われる筈であったが、第二警戒配備となったために取りやめとなる。明日は金銭の臨時試験があるが、未だ手を付けていないので気になる。夜温習終了後遅くまで勉強しておった人も大分居ったが、寒いので寝てしまった。

昭和19年12月26日(火)曇

金銭の臨時考査が行われた。

昭和19年12月27日(水)曇

今日は需品の試験があった。明日は庶務の試験も行われる。庶務はどうも苦手だ。夜温習中教科書を読んだが、寒くて少しも頭に入らない。11時頃未だ大分多くの者は勉強していたが、自分は寝てしまった。

昭和19年12月28日(木)曇

午前庶務の試験があったが、昨日少しも調べていなかったので、やはり出来なかった。

しかし臨時試験も出来ないながら終わったので、安心して正月を迎えることが出来る。昨年の正月は未だ娑婆にいたので良かったが、今度は初めて軍隊で迎える元旦であるので、どんな風であろうか。

昭和19年12月29日(金)曇

定時六時半起床、吊り床を収めて外へ出ると未だ暗い。舎内の掃除当番であったので、駆け足はしなかった。

毎日どんよりと曇った天候が続いて、非常に寒い。佐世保も東京に劣らず寒い所だ。明日は陸戦があるが、寒いと苦手だ。せめて暖かい日になって呉れればよいが。

三時頃先日の事件のことで軍法会議に出る。

今日のバスは熱くてよく温まり気持ちが良かった。このまますぐ床に入って寝ることが出来るのだったら満点だが、娑婆と違ってそんなことは考えることも出来ない。

明後日は元旦だ。故郷では年越しの準備で忙しいことだろう。

東京に又27日敵機約50機の来襲が有ったとか、自由が丘近辺が一番気に掛かる。