文学フリマの出店あれこれ

5/6(月)文学フリマに出店した。自分のブースをあらかじめ予約し、そこで小説やエッセイを売るイベントだ。

私は祖父が戦時中つけていた手記を本としてまとめてこのイベントに出店した。

 

きっかけは去年の11月に一般入場者として文学フリマに参加した際に、こだまさんと高石さんから「次回の文フリに出店してみてはどうか」と提案していただいた。

夫はその時点でサウナのZINEも出していたので夫への話かと思いきや

「君もじいさんの本出すんだよ」と夫から言われその気になれば出せるのかと思った。

家に帰ると即ブースを予約しておりブース名に私の名前も入っていた。

これはいよいよ本当にやらねばならないぞと心のハチマキを締める。半ば強引にブースを予約してくれたおかげで踏ん切りがついた。夫に今では感謝している。

 

祖父から手記の存在を聞いた時、A5の冊子をクリップ留めしただけだったので

自費出版でいずれちゃんと保存用に作りたいなという思いは昔からあった。

この時は100部刷って完売するほどたくさんの人の手に渡ることになるなんて想像もしていなかった。

やったよおじいちゃん。

 

誤字があったり、じいさんの戦争手記というタイトルだったのにあとがきではおじいちゃんと呼んでるし、今ならこう直すと思うことは多々あるがとても良い経験ができた。

あとがきは手紙形式ではなく、はじめはふつうに最後まで書ききっていたが、ふと手紙形式にするのはどうだろうと思いついた。

クイックジャパンで連載されている宇垣美里さんが手紙形式で文章を書いていた。

その連載がすごく好きだったので完全にまるパクリだ。

思いついてから文章を打ち直し始めると、しばらくは経験したことない集中力がみなぎり、一気に最後まで書ききった。

素人が寒いことしてるなと思われるだろうと危惧したが、この時ばかりは自分の直感を信じよう、集中できてた時間も気持ちよかったしとそのまま貫いた。

よくアーティストが曲は自分の子供のようなものと例えるが、今ならそれが分かる気がする。

もちろん0から生み出したのはじいさんだし、わたしは全ページの1割分くらいしかあとがきを書いていないので、「もしかしたら誰か興味をもってくれるかもしれないもの」に「乗っかった」だけだ。

4人のエッセイを編集し、自身も長文を執筆した夫よりはるかに軽いプレッシャーの中で制作していた。

それなのにこんなに良い経験ができていいのだろうか。

買ってくださった人はもちろん、手にとって買わなかった人にすらありがたいと思える。

 

 

 

あとがきにも書けなかった不思議なご縁をここに書きたいと思う。

 

じいさんが所属していた針尾海兵団は現在ハウステンボスになっていると先月ネットで知った。

ハウステンボスは去年夫が出張で行った時にこちらを買ってきた場所だ。

 

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そう11月の文フリのときにこだまさんに差し上げた美川憲一仮面だ。

 

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その日の取材でもつけてくださり、記事が公開されたときはめちゃくちゃ感動した。

ちなみに夫が着けている画像はじいさんの家で撮影したものだ。

ハウステンボスに行った夫にじいさんがちょっと憑依してたんじゃないのかな。

仮面を差し上げたこだまさんと、デスクが仮面置き場になっている高石さんから文フリ出店を勧められる。

当日会場でお二人に戦争手記をご購入いただく。

私は勝手に不思議なご縁を感じずにはいられなかった。

そんなん偶然なんて言われたらそれまでだけど、こうしてご縁って思ってる方が楽しいからこのスタンスでこれからもいく。

 

 

あともうひとつ。

今年に入って私はこんなツイートをしていた。

 

 

夢の中で食器を洗っていたのは自宅ではなくじいさん家だった。

 

そして今回の文フリの会場でレンタルさんはまんきつ先生のおかげで本を手にとっていただき

ツイートまでしてくれた。

 

 

私はブースにほとんどいたのでツイッターを全然チェックしていなかったのだが

たまたま一服で抜けさせてもらった時にこのツイートを発見した。

レンタルさんは私たちのブースの5メートルくらい先に常に立っていたのでこれはと思って

ツイートをしてくださったお礼と本を1冊差し上げることができた。

あの夢はそのうちレンタルさんとすこーし絡みあるでというお告げだったのかな。

そう考えた方が楽しいのでそう考えることにする。

 

 

楽しいことを経験するためにはやっぱり何かしらアクションを起こさなければいけませんな。

退職、荷造り、ねことの別れ、引っ越し、荷ほどき、手続き、アラバキなどけっして暇ではない時期に制作した本だったけどやってみて本当に良かったなあ。

自分が作ったものに感想がもらえることがこんなにも嬉しいことだと思わなかった。

これからもいち読者として所感を持ったものは面倒臭がらず言語化して発信していきたいと思っている。